序文

音楽を鳴り止ませないこと。
真にロックバンドでありたいのならロックバンドであってはならないこと。
オルタナティブの終焉。
日本語ロックの地平を目指すこと。
3ピースバンドの純粋性。
個性的なバンドになることなどに意味はなく
ただ好奇心に身を委ねるのみ。
どれほど激しく歪んだ変則的な音であろうと
子どもが口ずさめる歌心を貫こう。
たとえばみんなのうたのように。

廃墟にはそこに生きていた者の
記憶とロマンがあり
新たに息づく森には
粘菌うごめく命の煌めきがある。
私たちの憧れは黄昏の匂いがする蒸気の街。
私たちの憧れは死の匂いと隣あわせの青春。
iPhoneデバイスが有効なまさにこの現代。
過剰にエモーショナルで
虚実入り混じる管弦楽的なるものを求め
歌謡曲を愛し
己が内に潜むアングラな変態性にも目を背けることなく
人間が自然の一部であるがゆえに
テクノもダブも有機的な音として捉え直し
ガレージもパワーポップも
ブルースの魂の叫びのままにかき鳴らして叩きだす。
それが私たちのスチームパンク。

時や場所の隔たりなど些細な問題でしかない

映画小説ドラマアニメゲーム演劇
いつだって物語が私たちを人にした。
心の謎を解く鍵は虚構の中にあり
虚構はいつしか現実を侵食しはじめた。
本当は恐ろしい童話ダークファンタジーは
この21世紀においてグローバリズムとプラグマティズムを撃ち破り

誰もがあるがままに生きることのできる世を
どんな辺境にもそれぞれの幸せのかたちが
あることを教えるのだ。
それは決して一つの枠組みで括れるものではない。
必要なのはあらゆる在り方を互いに赦しあうこと。
理解しなくてもいい。
否定せず認めあうことができればいいのだ。

物語はあなたの日常をいつも後ろから見ている。
地下鉄のホームから
マンションの電子ロックから
鞄の中のスマホから。
決して見てはいけないもの
聞いてはいけないもの
話してはいけないことがある。
ただ一介の札幌インディーズが
それを歌えば花にされる危険がある。
それでもなお歌おうと決めた我が楽団の名は
終わりのないカルテット。

この世の真実の姿を覗く鍵をあなたに。

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